Jean-Marie Bandock

 ジャン・マリー・バンドック

 グラン・クリュ『ブジィ』村の個性 シャンパーニュ１７のグラン・クリュ村の中でも、堅固な骨格のシャンパーニュを生みだすブジィ村。完熟したピノ・ノワ ールから、ブジィ独自の個性をシャンパーニュに表現する小規模生産者。 グラン・クリュ・ブジィ１００％ 『現在はグラン・クリュ・ブジィ村の殆どの葡萄が大手 メゾンに使用されている。残念ながらブジィの葡萄で 造られるシャンパーニュの純粋な味わいを知ってい る人は極僅かだと思う』とジャン・マリー・バンドック当 主のシルヴァン。 グラン・クリュ・ ブジィ村の畑は 合計３５０ｈａ。 その内１５０ｈａ は大手グラン・ メゾンが所有し、 残 り の葡 萄 の 多くも栽培家か らグラン・メゾン へ と 販売 さ れ ている。グラン・ メゾンでは複数 のグラン・クリュ の 葡 萄 を ア ッ サンブラージュしメゾン独自の味わいを造り出す為、 そこでは残念ながら各グラン・クリュの純粋な個性は 姿を消してしまう。バンドックが所有する３ｈａの畑は 全てグラン・クリュ・ブジィ村。ブジィは扇状の真南を 向いた一枚の斜面に葡萄畑が広がり、３０ｃｍ程の表 土の下はモンターニュ・ド・ランスの典型的なチョーク 層。グラン・クリュ村の素質を見事に備えた土地だ。 日照時間に恵まれ、葡萄は十分に糖度をあげる。 『他のグラン・クリュに比べてアルコール度数が高く、 堅固な骨格を持つ男性的な味わいに。この特徴をシ ャンパーニュに率直に表現している』

ブノワ・ライエも参加していた組合 バンドックは同じブジィ村の造り手５件と共に、ソシエ テ・ヴィニョロンと呼ばれる組合を形成している。彼等 は圧搾・発酵からティラージュまでの醸造設備を共 有する。２０００年代に自らの醸造所を造るまでは、 ブノワ・ライエもこの組合に参加していた。設立のきっ かけは１９２８年のネゴシアンによる葡萄購入価格の 引き下げだった。『祖父の時代、ネゴシアン主導の葡 萄購入制度から抜け出し、自分達でシャンパーニュ を造ろうと考えた栽培家が集まった』しかし彼等の様 に僅かな畑のみを所有する小規模生産者が各自で 醸造設備を持つ事は難しく、共同で醸造設備を持つ 事でドメーヌとして独立する事が可能になった。特徴 的なのは収穫時された葡萄は生産者毎では無く、全 て合わせて圧搾・発酵・熟成を行う事。翌年の２月に ヴァン・クレール（その年のベースとなるワイン）の試 飲を行い、各生産者が品種やリザーヴ・ワインを組み 合わせ、独自のアッサンブラージュを決定。その後は 各ドメーヌで瓶詰めし、瓶内２次熟成を行っている。

リザーヴ・ワイン５０％使用 『アッサンブラージュは、我々にとって最も重要な作 業。それによりシャンパーニュには造り手の“サイン” が施される』葡萄を共有する彼等にとって、アッサン ブラージュは各造り手の個性を決定する上で最も重 要な作業。各造り手はヴァン・クレールとリザ―ヴ・ワ インの比率によりシャンパーニュの味わいを決定して いく。バンドックの特徴は毎年５０％以上のリザーヴ・ ワインを使用する事。同じ組合の中でも他の造り手は ２０～３０％で、比べると非常に高い比率。通常はリ ザーヴ・ワインの比率が上がると、ティラージュ後の 酵母の活動が弱くなり、瓶内２次発酵時のコントロー ルが難しくなる。５０％という比率は周囲にも反対され る量。しかし、バンドックではリザーヴ・ワインにより、ブ ジィ独自の味わいが深まると考える。『私達のシャン パーニュは、独自の強さと厚みを持つ。酒質が強す ぎると感じる人もいるかもしれないが、これこそがグラ ン・クリュ・ブジィのテロワールの特徴。この個性を大 切にしたい』ずっしりとした重心を持つバンドックのシャ ンパーニュ。肉料理と合わせられる程の力強さこそ が、グラン・クリュ・ブジィの個性だと感じられる。年間 の生産量は僅か２５，０００本の地酒の様な魅力を持 つ、希少なシャンパーニュ。

輸入元資料より抜粋