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wine会でご紹介するwine 4番目

さて wine会でご紹介するwineの4番目、いよいよ モンラッシェの造り手、「マルク・コラン」です。

ここにきて、コラン姓のつくドメーヌが一挙に増えた。以前はこのドメーヌ・マルク・コランと、マルクのいとこにあたるミシェル率いるドメーヌ、ミシェル・コラン=ドレジェだけだったが、最近、双方の息子たちが独立してドメーヌやメゾンを構えるようになったため。

マルクの長男ピエール=イヴはメゾン・ピエール=イヴ・コラン=モレを立ち上げ、ミシェル・コラン=ドレジェのほうは長男フィリップがドメーヌ・フィリップ・コラン、次男ブリュノがドメーヌ・ブリュノ・コランをそれぞれ設立、加えて父ミシェルのドメーヌ、ミシェル・コラン=ドレジェも健在。

さてマルク・コラン。シャサーニュ、サントーバンの定評あるつくり手として支持されてきたが、上にも記したように長兄のピエール=イヴが独立したため、現在ドメーヌの運営は次男ジョゼフ、三男ダミアン――主につくりを担当――に長女カロリンヌが担っている――マルクも完全に引退というわけではないが、ほとんどを子供たちにまかせている――。

バタールにモンラッシェと2つのグラン・クリュを擁し、プルミエ・クリュも1ダースと、生み出す全銘柄は2ダース以上を数える。広めの18ヘクタール――そのうち赤が3分の1を占める――の面積があるドメーヌは白、赤ともに高い樹齢のぶどうが多く、なかでもサントネーに植わるのは樹齢100年を超えるヴィエーユ・ヴィーニュ。

リュット・レゾネで栽培されるぶどうは芽掻きでしっかりと収量を切り詰め、ヘクタール当たりの収穫量は低い。カーヴに運ばれたシャルドネーは選果台を用いて入念にトリを付し――ドメーヌではともかく健康な果実にこだわる――、樽発酵となるが、そのつくりには大きな変化が見られる。

以前に多用していたバトナージュは、ほとんどおこなうことがなくなった。またドメーヌの半分以上を占めるプルミエ・クリュでは5割強と高い比率で新樽を用いていたが、その比率を3割ほどまでに低め、あてがい方も変わった。瓶詰めまで樽で熟成させていたワインは、7ヵ月から8ヵ月樽をかけた後、4ヵ月前後をタンクで過ごすというやり方に変更してきている――モンラッシェは新樽のみで18ヵ月間の熟成――。

もともと凝縮感に富み力のあるマルク・コランの白だったが、このつくりの変化から豊かな果実味は変わらぬものの、以前に較べ、より酸がしっかりし、ミネラル感のあるワインに変化した。それは拠を置くサントーバンの各プルミエ・クリュで十分に体感できる――マイナーなアペラシオンではあるがその立地は素晴らしいものがある――。

ドメーヌは赤も手掛けていて、アペラシオンはシャサーニュにサントーバンとサントネー、それにブルゴーニュAC。こちらは当然瓶詰めまで樽だけで15ヵ月前後熟成させていて、仕上がりはどれも甘酸、タンニンのバランスもよく、コート・ド・ボーヌの南部らしい素朴さを備えたもので評判は上々。

マルク・コランでも、ドメーヌもの以外に購入ぶどうからのワイン――コルトン=シャルルマーニュやムルソー・ナルヴォーなど――をつくっていて、ドメーヌものがマルク・コラン・エ・フィス、ネゴスものはマルク・コラン・エ・セ・フィス――sesの字句が入る――と異なる表記で区別される。そのラベルも2007年のミレジムよりマイナー・チェンジをおこない、現在のより洗練された酒質にマッチしたものとなった。

2013年04月17日 13:49