wine会でご提案する造り手の 3人目です。「ドメーヌ・ド・ラ・プスドール」。
15ヘクタール以上におよぶ地所はグラン・クリュとプルミエ・クリュのみという、ブルゴーニュ広しといえどもその質の高さでは群を抜くドメーヌ。加えてヴォルネィに3ヵ所のモノポール――クロ・ド・ラ・ブス・ドール、クロ・デ・ソワサント・ウーヴレそれにクロ・ドゥディニャック――を所有します。
ヴォルネィの中心――ドメーヌのすぐ東にあり、その西隣にはクロ・ドゥデニャックが横たわる――に位置する2.1ヘクタールの クロ・ド・ラ・ブス・ドールが ドメーヌの旗艦的存在。15世紀のフィリップ善良公を始め、19世紀にはロマネ=コンティを筆頭に コート=ドール全域に名だたる銘醸畑を所有していたデュヴォール=ブロシェの 領地の一部として、常に名声を誇ってきた。
1960年代半ばより ドメーヌを精力的に運営し、評価を高めてきたジェラール・ポテルの死去に ともない、1997年から所有者が替わりました。そして 新当主パトリック・ランダンジェの 指揮のもと、生産を開始して10年、ワインは以前に較べ 明らかに色調も濃くなり、深みを増しました。畑においては除草剤、化学肥料の類は一切使用しません。醸造所内での果汁は、ポンプは用いずに重力――余計なストレスを与えない配慮――で移動させています。醸造所の2階に運び込まれた葡萄は 入念な選果の後、除梗破砕。発酵は 1階にあるイノックスのタンク――2003年以降、ブス・ドールとソワサント・ウーヴレは木槽――でおこない、樽熟は30パーセントの新樽を用いて地下倉で、という具合。
代替わりしてからは 上に記したような細心の注意で つくりにあたる一方、ドメーヌの水準に達しないと判断されたキュヴェのデクラッセ――1997年のいくつかのヴォルネー・プルミエ・クリュはACヴォルネーとしてリリース――も容赦なくおこなっています。また区画の取得にも積極的で、コルトンの2つのグラン・クリュに加え、それまで赤だけだったドメーヌにサントネーの白が仲間入りし、さらに最近ではモンラッシェとシュヴァリエ=モンラッシェに接し、グラン・クリュ並みの評価を得ているピュリニーのプルミエ・クリュ、ル・カイユレ――当然樽発酵――が2004年のミレジメよりお目見えしました。
なお2005年のミレジメにおいてドメーヌでは、シャプタリザシオン――アシディフィカシオンもなし――せずにワインを仕上げています。